【新品のサーランギについて 前編】
サーランギの楽器事情について書いてみました。
2回に分けた記事で、長文ですが興味のある方はご一読ください。
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サーランギ教室をやっていると、当然ながら生徒さんの楽器について面倒を見る必要があります。
基本的には僕のほうで販売可能なサーランギを用意しておき、体験レッスン等で実際に使っていただいた上で希望の場合は購入してもらう、という方法をとっています。(条件次第でレンタルサービスも行っています)
用意する楽器に関しては僕自身が演奏に適した形で調整しており、演奏会で使用できるクオリティで、値段も相場からしても比較的お手頃に設定しているつもりです。
ただ、受講希望者の中にはご自身で選んで購入した楽器をお持ちになることが少なからずあります。
インド旅行で買ってきた、ネットオークションやアジア雑貨のショップで手に入れたというケースや、あるいはレッスンを受ける前に販売サイトのURLをメールしてきて「このサーランギでいいですか?」と聞かれることもあります。
しかし、こうした場合はたいてい「このままでは演奏できないです」とお答えすることになります。
・・・???
新品の楽器がこのまま演奏できないとはどういうこと??、と当然疑問を持たれると思います。
その理由はインドにおいてもほとんどの新品のサーランギは【演奏するための調整がされていない状態】で販売されているからです。
つまり新品のサーランギのほとんどが、そのまますぐに演奏できる状態ではないのです。
ギターでもバイオリンでも「新品=チューニングすればすぐに演奏できる楽器」、というのが共通認識だと思うのですが、サーランギの場合はこれが当てはまりません。
演奏者から見ると、あれこれ調整しなければならない箇所がたくさんあるわけです。
なぜ?と思われるかもしれませんが、僕の考えでは現代のサーランギは「サーランギを弾けない人が作っている」、もしくは「サーランギを弾ける人のチェックが入っていない」ことが根本的な原因だと思っています。
サーランギはそもそも奏者の少ない楽器です。
製作する側は当然演奏技術があった上で製作している、と考えるのが普通ですが、多くの場合インド楽器の製作は分業制であり一人で作るものではなく、携わるすべての職人がサーランギの演奏をできるかというと、これは想像でしかありませんが、まずほとんどできないのではないかと思います。
稀に工房のオーナーが基礎的な演奏技術を持っているというケースがあり、もしくは演奏家が最終的に試奏するなどして監修しているようなケースもあるようですが、あくまで少数と思われます。
演奏家の視点から見ると、さっと見ただけで演奏のために必要なセッティングができていないのが一目瞭然なことも多いのです。(実際にどういった点が調整が必要になるのかは後編にて)
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さて、サーランギをご自身で手に入れた生徒さんがいらしたら、その楽器を演奏に適した状態まで調整する必要が出てくるのですが、私の場合は、新品の楽器であっても調整の代金をいただくことにしています。
「新品の楽器を購入したのでこの楽器でレッスンを受けたいです!」という方に、「その楽器はすぐに演奏できる状態ではありません。調整に代金をいただきます」と言うと大抵は訝しがられるし、メールでその説明をするとそれ以降返事が返ってこなくなるとか(-_-)、そんなことも何度かあったりしました…涙。
しかし、この調整、1、2時間程度のちょっとした作業で終わる作業ではないんですよね…。
ごく最低限の調整でしたら短時間で終わる場合もありますが、演奏に最適のコンディションにするために実際に調整するべき項目は非常に多岐にわたりますし、サーランギ自体が複雑な構造の楽器であることから、弾いてみて修正して、を何度も何度も繰り返す必要があります。
他の先生なら無料でやってくれる方もいらっしゃると思いますし、正直に言うと、僕も教室を始めた頃はサービスでこの調整も行っていましたが、あまりに作業量が多いため、現在は調整料金をいただくことにしています。
その代わりに作業は責任をもってやりますし、その後のフォローももちろんいたします。
まあ早い話、インドのサーランギ製造事情がもっとちゃんとしてくれれば何の苦労もないのですが、その点ギターやバイオリンなどは講師が楽器の調整をする必要はなくてうらやましい気持ちです。
次回はどんな調整が必要になるのか、つまり、新品のサーランギの未調整の部分とはどういった箇所なのかを説明してみようと思います。
後編に続く